電気主任技術者として、特定の会社に雇われるのではなく「外部委託」で複数の施設を受け持つ働き方があります。独立や定年後の働き方として関心を集める一方で、「誰でもできるのか」「いくら稼げるのか」が分かりにくいのも事実です。
この記事では、外部委託の仕組み・認められる条件・必要な実務経験・報酬の相場・始め方を、電気事業法の規定と公開されている相場情報に基づいて整理します。数字は出典と取得時点を明記しています(相場は変動します)。
外部委託とは何か
外部委託(正式には保安管理業務外部委託承認制度)とは、一定の条件を満たす自家用電気工作物について、施設が電気主任技術者を「選任」する代わりに、有資格者(電気管理技術者または電気保安法人)と保安管理業務の委託契約を結ぶことで保安を確保する制度です。根拠は電気事業法施行規則 第52条の2[1]。
- 選任:施設が自社の社員等を主任技術者として置く(雇用が前提)
- 外部委託:外部の技術者・法人に委託する(委任・請負の契約)
つまり外部委託で働く技術者は、施設に雇われるのではなく、個人事業主または法人として複数施設と契約する働き方になります。
外部委託が認められる施設の条件
どんな施設でも外部委託できるわけではありません。主に受電電圧7,000V以下で、次のような規模が対象です[6][2]。
| 区分 | 主な上限の目安 |
|---|---|
| 需要設備 | 7,000V以下で受電 |
| 太陽光発電所 | 出力5,000kW未満(7,000V以下連系) |
| 風力・水力・火力 | 出力2,000kW未満(7,000V以下連系) |
| その他の発電所 | 出力1,000kW未満(7,000V以下連系) |
高圧受電のビル・工場・店舗のほか、近年は太陽光発電設備が対象に多く含まれます。詳細な区分は施設ごとに監督部の確認が必要です。
委託する側(技術者)に必要な要件
外部委託を受ける電気管理技術者には、免状に応じた実務経験が求められます。要件は平成15年経済産業省告示第249号で定められており、免状の種類ごとに次のとおりです[6]。
| 免状の種類 | 原則 | 講習を修了 | 講習+訓練を修了 |
|---|---|---|---|
| 第一種電気主任技術者 | 3年 | — | 2年(訓練の修了) |
| 第二種電気主任技術者 | 4年 | 3年 | 2年 |
| 第三種電気主任技術者 | 5年 | 3年 | 2年 |
さらに、設備容量300kVA以下・キュービクル式・主遮断装置がPF・S形のすべてを満たす需要設備だけを扱う場合は、上の期間から1年を減じることができます(同告示第一条第2項)。
また、免状の交付を受けた日より前の実務期間は、2分の1に換算して通算されます(同第一条)。
加えて、1人が受け持てる設備量に上限があります。設備の種類と容量ごとに決められた「換算係数」(業界では「点数」と呼ばれます)の合計が33未満に収まる範囲でしか担当できません[6]。これは1人の技術者が無理なく保安を確保できる量を担保するための規定で、収入の上限を考えるうえでも重要です。
実務経験として認められる業務の範囲や、短縮の適用可否は個別事情で変わります。実際の申請可否は管轄の産業保安監督部に確認してください。
報酬・収入の相場
外部委託の報酬について、国の統計は見当たりません。料金は、施設の換算係数(点数)に「1点あたりの単価」を掛けて考える方法が紹介されています。古い設備で漏電が多い、敷地が広い、遠方にあるなど、手間のかかる条件では上乗せされることもあります[5]。
収入は「1点あたりの単価 × 受け持つ点数(合計33未満)」で考えると分かりやすく、単価は人や地域で大きく違い、ある電気管理技術者のブログでは、筆者自身の単価は1点あたり月15,000〜18,000円・持ち点(受け持つ施設の点数の合計)20点で月30万円ほどで、関東では1点あたり月25,000〜35,000円が妥当と言われている、と書かれています[4]。前者は筆者自身の実例、後者は筆者が紹介している相場の見方で、どちらも経費を引く前の売上です。個人で受ける場合は、車の燃料代や、年次点検・緊急時に応援を頼む技術者への支払いなどがかかります[5]。
同じブログでは、電気保安法人どうしの価格競争で、地域によっては単価が下がったという指摘もあります[4]。報酬は地域・設備・契約内容で大きく変わるため、数字は一例として扱ってください。なお、経済産業省の資料(2021年)では、外部委託の技術者は1人あたりおおむね40〜65件程度の設備を受託しているとされています[7]。
メリットと、向かない人
メリット
- 雇用に縛られず、自分のペースで複数施設を受け持てる
- 定年後・セカンドキャリアとして実務経験を活かせる
- 担当を増やすほど収入を伸ばせる(換算係数の合計33未満の範囲で)
デメリット・注意点
- 緊急対応・事故時の責任を自分で負う(属人的な負担)
- 営業して案件を確保しないと収入が安定しない
- 単価下落の地域では想定より稼げないことがある
向かない人:実務経験が要件に満たない方、緊急対応の体制(移動・連絡)を確保しにくい方、案件開拓の手間を避けたい方は、まず実務経験の蓄積や紹介サービスの活用を検討するほうが現実的です。
案件の見つけ方
外部委託の案件は、(1) 既存の人脈・紹介、(2) 電気保安法人への所属、(3) マッチングサービスの利用、などで探せます。特に独立初期は、条件の合う施設と出会う導線をどう作るかが収入を左右します。
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まとめ
- 外部委託は、7,000V以下の一定規模の施設で、有資格者が選任に代えて保安を担う制度
- 免状に応じた実務経験と、受け持てる量の上限(換算係数の合計33未満)がある
- 報酬は「1点あたりの単価×受け持つ点数」で考える。単価は人や地域で大きく違う
- 独立で続けるには、案件確保の導線づくりが鍵
外部委託で働けるか・いくらになるかは、お持ちの資格・実務経験・地域で変わります。具体的な案件の有無を知りたい方は、無料登録のうえご相談ください。
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出典
- 電気事業法施行規則 第52条の2(保安管理業務外部委託承認制度)。公益社団法人 日本電気技術者協会「保安管理業務外部委託承認制度について」 https://jeea.or.jp/course/contents/11201/ (2026-05-29取得)
- リニューアブル・ジャパン「電気主任技術者の外部委託承認制度とは?」 https://www.rn-j.com/business/om/denken/gaibushonin/ (2026-05-29取得)
- 電験超入門部「電気主任技術者の外部委託承認申請制度とは?必要な手続きと根拠法令」 https://denken.joho.info/tetsuzuki-denki/gaibuitaku-shonin-shinsei/ (2026-05-29取得)
- 電気管理技術者の備忘録「電気保安外部委託の市場価格と相場理解と値段の決め方」 https://denmasu2.com/36/ / 同「電気管理技術者の点数と年収について」 https://denmasu2.com/002/ (2026-10-06取得・個人のブログ)
- スターメンテナンスサポート「電気保安点検の料金がどうやって決まるか」 https://www.ecopu.net/7815/ (2026-05-29取得)
- 経済産業省 関東東北産業保安監督部「外部委託承認制度」 https://www.safety-kanto.meti.go.jp/electric/jikayou/e_gaibuitaku.html / 対象設備・実務経験要件の根拠は平成15年経済産業省告示第249号。中部近畿産業保安監督部近畿支部「保安管理業務外部委託承認申請」 https://www.safety-kinki.meti.go.jp/electric/jikayou/gaibuitaku.html もあわせて参照(2026-05-29取得・一次情報)。換算係数と上限33は平成15年経済産業省告示第249号 第3条 PDF(2026-10-06取得・一次情報)
- 経済産業省 産業保安グループ電力安全課「電気保安人材の現状分析と取組の方向性について」(令和3年11月5日)PDF(2026-10-06取得・公的資料)
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