太陽光発電や蓄電池などの再生可能エネルギー設備の普及にともない、これらの保安を担う電気主任技術者の需要が高まっています。一方で、保安人材の高齢化による不足も深刻です。この記事では、再エネ分野で電気主任技術者がどう関わるのか、案件の実務と需要の背景を、公的資料と制度に基づいて整理します。
再エネ分野で電気主任技術者の需要が高まる背景
経済産業省の資料によると、電気主任技術者の約6割が60代以上とされ、高齢化と世代交代が課題になっています[1]。いわゆる「2025年問題」(団塊世代の後期高齢者入り)も重なり、知識・経験を持つ層の引退が進む一方で、太陽光をはじめとする電気設備は増え続けています。設備の増加に保安人材が追いつかない状況が、再エネ分野の需要を押し上げています。
太陽光発電設備と外部委託
太陽光発電設備も、一定規模までは保安管理業務外部委託承認制度の対象です。令和3年4月の改正で、外部委託できる範囲が受電電圧7,000V未満かつ出力5,000kWまでに拡大されました[2]。これにより、低圧〜高圧連系の太陽光発電所は、電気管理技術者や電気保安法人への外部委託で保安体制を整えやすくなっています。
外部委託の仕組み・要件・報酬の全体像は、電気主任技術者の「外部委託」とは|仕組み・報酬相場・始め方で詳しく解説しています。
蓄電池設備の扱い
系統用蓄電池や自家消費型太陽光に併設される蓄電池も、電気工作物として保安の対象になります。受電方式や容量によって選任・外部委託の要否が変わるため、設備構成ごとに対象範囲を確認することが重要です。再エネ+蓄電池の組み合わせは今後さらに増えると見込まれ、対応できる技術者の価値が高まっています。
再エネ案件の実務の勘所
太陽光・蓄電池の案件は、一般的なビルのキュービクルとは点検の勘所が異なります。
- パワーコンディショナ(PCS)や接続箱、ストリングごとの発電状態の確認
- 遠隔監視システムを使った発電量・異常の常時モニタリング
- 雑草・小動物・モジュールの汚れなど、屋外設備特有の劣化要因への対応
- 台風・落雷など気象リスクに備えた点検・復旧
これらは座学だけでは身につきにくく、再エネ案件の実績がある技術者ほど有利です。逆に言えば、これから経験を積みたい技術者にとっては、需要が伸びている再エネは参入の好機といえます。
メガソーラーなど大規模設備の動向
特別高圧で受電するメガソーラーは外部委託制度の対象外で、第二種電気主任技術者などの選任が必要です。ここは人材不足がとくに深刻なため、配置される技術者を第三種でも許容し、第二種が遠隔のスマート保安で統括する制度なども検討されています[1]。制度は動いているため、最新情報は公式(経済産業省・産業保安監督部)で確認してください。
再エネ案件で働くには
再エネ分野で外部委託として働くには、免状に応じた実務経験など外部委託の要件を満たすことが前提です(電験三種で独立・開業できる?も参照)。そのうえで、再エネ案件に出会える導線をどう作るかが鍵になります。
「電気主任技術者お仕事発掘ナビ」は、再生可能エネルギー分野の案件を中心に技術者を支援しています。再エネの経験を積みたい方も、まずは無料登録のうえご相談ください。
再エネ案件に関心がある方へ → 技術者登録(無料)はこちら
まとめ
- 保安人材の高齢化(約6割が60代以上)と設備増加で、再エネ分野の電気主任技術者の需要は高い
- 太陽光は7,000V未満・5,000kWまで外部委託が可能(令和3年4月改正)
- 再エネ案件は点検の勘所が一般設備と異なり、実績が強みになる
- メガソーラー等は選任が必要で、制度の見直しも進行中
関連記事
本記事は、当サイトの運営メンバー・専門家の知見をもとに作成しています。→ 監修者・運営メンバー紹介
出典
- 経済産業省 産業保安グループ電力安全課「電気保安人材の現状分析と取組の方向性について」(令和3年)ほか主任技術者制度の見直し関連資料 https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/hoan_seido/pdf/008_02_00.pdf(2026-06-09取得・公的資料)
- 太陽光発電設備の外部委託範囲拡大(受電電圧7,000V未満かつ出力5,000kWまで・令和3年4月1日改正)。経済産業省 産業保安グループ「再エネ発電設備に対する保安管理制度等について」 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/conference/energy/20220131/220131energy07.pdf / 関東東北産業保安監督部「外部委託承認制度」(2026-06-09取得・公的資料)
コメント